【社会か監獄か】
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お互いに
君と僕と恐れている。
お互いに
君は僕に対して、僕は君にに対して、
自分を保護するために、
ここに社会という組織を作った。
君は僕の敵だ。
僕は君の敵だ。
君は僕がやるに違いないと思い、
僕は君がやるに違いないと思う、
あらゆる悪意と暴行に対して、
民法や刑法の幾千箇条を定めた。
これが
君と僕の社会だ。
君と僕の監獄だ。「近代思想」1913年4月號に発表
【Sans-Patrie の祈祷】
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おれが選んだのでもない、
おれが造ったのでもない、
ただ偶然がそこにおれを生んだ、
このドイツ国に。
しかもただそれだけの理由から、
俺の生命の出費の下に、
盲目の服従と忠誠を強いる、
このドイツ国に。
希くば、邪悪の神よ、
永遠の祝福を垂れさせたまえ。
【奴等の力】
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なるほど奴等は力を持ってる。
ちょっとでも刃向えば殴りとばされる。
いかにも奴等は強そうだ。
だからみんな奴等の前にへこたれてる。
だが本当に奴等は強いんだろうか。
そんなに奴等は力があるんだろうか。
これは事実上問題にならん問題のようだ。
しかし僕等にはどうも疑われてならん。
僕等はだいぶん奴等に当って見た。
そしてそのたんびに僕等は負けた。
だが僕等はただ負けてしまったんじゃない。
負けるたんびに僕等の心に勝利が萌してた。
奴等は弱いんだ。奴等は力も何もないんだ。
ただへこたれてるみんなで奴等の力を作ってるんだ。
今に僕等が奴等の弱いことを見せてやる。
奴等の力を支えてるみんなをどけてやる。
【自由の前触れ】 フローベル
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魂は今眠っている。他人の言葉に酔っている。
けれども、やがて狂乱的覚醒の時が来て、解放の喜悦
に耽るようになる。その周囲には、もう何の礙げもなく
なる。政府もなくなる。宗教もなくなる。何の法式もな
くなる。
立法を組織して修道院のような社会を建てようと夢み
ている、あらゆる流派の共和制主義者等は、私には、世
の中のもっとも野蛮な先生のように思える。
私は、これと反対に、いっさいの規則はなくなり、障
壁は覆えされ、土地は平にされてしまう、と信ずる。そ
してこの混乱が、恐らくは自由を前触れるのである。
いつでも先駆けをする芸術は、この歩みを、少なくと
も、あと追うて来た。
今立っているものに、何の詩があるか。
【むだ花】
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生は影響の闘いである。
自然との闘い、社会との闘い、他の生との闘い、
永久に解決のない闘いである。
闘え。
闘いは生の花である。
みのり多き生の花である。
自然力に屈服した生のあきらめ、
社会力に屈服した生のあきらめ、
かくして生の闘いを回避した
みのりなき生の花は咲いた。
宗教がそれだ。
芸術がそれだ。
むだ花の蜜をのみあさる虫けらの徒よ。
【野獸】
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また、向う側の監房で、荒れ狂う音がする、
怒鳴り声がする、歌を唄う、
壁板を叩いて騒ぎ立てる。
それでも役人は、知らん顔をしてほうって置く。
いくど減食を食っても、
暗室に閉じこめられても、
鎖りづけにされても、
やっぱり依然として騒ぎ出すので、
役人ももう何とも手のつけようがなくなったのだ。
まるで気ちがいだ、野獣だ。
だが俺は、この気ちがい、この野獣が、羨ましくって仕方がない。
そうだ!俺は、もっと馬鹿になる、修業をつまなければならぬ。
「近代思想」1913年9月號に発表
【みんな腹がへる】
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みんな腹がへる。
自然の法則だ。
みんなが食わなければならぬ。
正義の法則だ。
みんな食う。
待たれる法則だ。
改良!
平民のための改良!
平民のための監獄改良!
こっちの定住者からあっちの定住者へ、
その贅沢品を背負って運び廻る、
なるほど君は身軽なそして自由な旅人だよ。
どうだい、小剣!
【道徳非一論】
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おれの舟のへさきが
打砕き打起して行く波の行衛は、
おれにも誰にも
末の末まで分らない。
砕かれた波の、起された波の
波の行衛に控えはない。
波は波自らの運命を
辿ってゆく、拓いて行く。
おれはただ、
おれ自らの道を求めて、
おれのいっさいを賭けて、
未知の彼岸に漕いで行く。
【この醉心地だけは】
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エ・リバタリアン
彼等は彼等じゃなかった。
彼等はさらに他の彼等に巧みに掩いかぶせられた幾重もの殻に
包まれていた。そして彼等は、その中身の彼等自身をあるいは他人
だと考えさせられ、あるいはまたその存在をすらも忘れさせられてた
だその上っ面の殻だけを彼等自身だと思い込まされて いた。
Wah! Wah! Wah!
Bara-bara! Gara-gara! Doshin!
Wah! Wah! Wah!
叫喚、怒号、○○、○○、○○、
いま、彼等は彼等だ。中身だけの彼等だ。
彼等にはもう教えられた何ものもない。強いられた何ものもない。
瞞しこまされた何ものもない。すべてを彼等自身の眼で見る。彼等
自身の心と頭とで審く。彼等自身の腕で行う。彼等自身の魂を爆発
させる。
Wah! Wah! Wah!
Bara-bara! Gara-gara! Doshin!
Wah! Wah! Wah!
叫喚、怒号、○○、○○、○○、
彼等はまた旧の彼等に帰るだろう。彼等自身じゃない彼等に帰る
だろう。そして再びまた彼等自身を忘れてしまうだろう。
短かい酔だ。しかし、彼等が彼等自身に帰ったこの酔心地だけは…
【入獄から追放まで】
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魔子よ、魔子
パパは今
世界に名高い
パリの牢屋ラ・サンテに。
だが、魔子よ、心配するな。
西洋料理のご馳走たべて
チョコレトなめて
葉巻スパスパソファの上に。
そしてこの
牢屋のおかげで
喜べ、魔子よ
パパはすぐ帰る
おみやげどっさり、うんとこしょ
お菓子におべべにキスにキス
踊って待てよ
待てよ、魔子、魔子。
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