【船上山】
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危かりける隠岐の海 霧さへ深く立渡り
海士の釣舟うき沈み いかになりゆく此身かと
大御心そみたれける 級戸の~や守りけん
秋のたのみの八束穗の 稻津の浦に着きにけり
あたりに響く名和の君 かたしけなしと取敢へず
迎へ奉りて棹も無く 楫もたのまぬ船の上
御寺の奥を九重の 天つ朝廷になずらへて
寄る白浪をせきかへし 立つ仇浪をうちくだき
やゝ吹き起る時つ風 追手の風に眞帆あげて
都にまたも還ります 御供つかへしそのさまは
こゝろよげにぞ見えにける 樂しげにこそ見えにけれ
【某嬢の一周忌に】
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この朝けふりたち見れば わが庭の木の葉色づき
わが園の萩が花散る み山には今か鳴くらん
さを鹿の戴く角の 束の間も忘れかねつゝ
眞悲みわが思ふ君 可惜みわが思ふ君の
射干玉の黄泉路をさして いでましゝ月はこの月
すぎましゝ日は今日なりき 今日といへばまして慕ばる
今日といへば殊に歎かる 現身といましゝ時は
さま/゛\の學のおくか 國々の人の言語
眞つぶさに學び明め 絲竹の遊びのわざも
挿花も點茶の道も こと/゛\にたどり給ひて
志貫島の大和詞の 林さへ分け給はんと
山の井の淺きさとりの われにしも質し給ひて
やゝ/\に進みましゝを かりそめの風のこゝちの
いつしかも重りましけん 朝露のひるまも待たず
夜霧なす消えましゝより 一めぐり年はめぐれど
二かへり秋はかへれど 花の如にほひし君が
みすがたは二たび見えず 玉の如よそひし君が
み車はまたとめぐらず いたづらに志のぶが岡の
おくつきの朝露深く 夜霧のみたちこそ渡れ
そこ故に木の葉色づき 萩が花ちる秋毎に
くれなゐの涙ぞおつる 衣手のうへに
【勅語捧讀】
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一節
千代田の宮に千代かけて 世を志ろしめす大君の
くだし給へるみことのり 万の民のよろつ代に
よるへき道はこゝに在り ゆくへき道はこゝに在り
二節
ひとりの君をいたゞきて ふたりの親をかしつきて
いもせはらから友がきも 睦びあひつゝみ教に
そむかぬまことあらはさん たかはぬまことあらはさん
三節
水穗の國に生れ來て 大御寶の名を得つゝ
御代を守らん吾黨の 道の志るべのみことのり
仰きて讀まん朝夕に ふして思はん夜晝に
【卒業生をいはふ】
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菅の根の長き月日を まなばしら學の塲(ニハ)に
いそ志みし験まさしく うつせみの世にうちいでゝ
ますらをの名をしたつべき 時は來ぬ時は到りぬ
天地は君らが爲に ます/\も廣くやならん
日月は君らが爲に いよ/\も明くや照らん
千里の駒に鞭うち シベリヤの野にかも遊ぶ
小舟に楫ひきをり ムールの島にや渡る
足は行かであらゆる書を まつぶさにあさり明らめ
天の下の物志り人と ならんとや君らは思ふ
かにかくに羨しきは おひ先のこもれる君ら
春秋に富める人々 立返りわが身の昔
つら/\に思ひわたせば 恥かしく悔しき事の
眞砂なす教へもあへず まなびには志しゝも
身をたてん道とも知らず 世わたりのすべとも思はず
書よむもわが身ひとつを 守るべき教とおもひ
さらぬをば慰み草と はかなくも玩びつゝ
あたらしき年の四十を 徒に過しやりつゝ
何事もいまだ得成さず 何の名もいまだ得立てず
今の世のわか人たちは 若きより目あてを定め
世をわたるたづきもとめて 學にも入りたつといふ
さればこそまなびも進め するわざもあだにはならぬ
大事もはやくなるらめ 美し名もやがて立つらめ
こゝ思へは後の世人は おそろしといひし聖の
言ぞうべなる
【大阪人の一事業おこさんとするを】
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難波津にさくやこの花 さきがけて事をなさんと
進みいでゝ功たてんと いたづけるますらをのとも
水すらも石きりとほす 蟻すらも山ほりうがつ
ますらをの心振起し たゆみなく勉め勵まば
何事か世にならざらん 何わざか世にとげざらん
その事の成りも遂げなば 冬ごもり春になりゆく
難波津のその花よりも かぐはしき名こそ薫らめ
ますらをのとも
【櫻井】
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底すみわたる櫻井の 水驛(ウマヤ)こそ君親に
仕ふる道のかゞみをば 千載の後にとゞめけれ
その水鏡きよくとも 大き小き楠の
操の影をうつさずは あまたの人に汲まれめや
その楠もきみが爲 枝葉つくして捧げたね
いさをし無くば天地に 高き薫の溢れめや
かをりゆかしき楠の 親子の君を鏡にて
われらも花とさくら井の 清き名を世に流さまし
【新年】
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年たつ今朝の長閑さよ 松竹たつる門ごとに
朝日の旗の影さして すゞろに勇む人ごゝろ
年たつ今日のたのしさよ おいたるわかきおしなべて
とはれつとひつむつましく 君が代千世と祝ふなり
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