「数方庭祭の魅力」
下関市長府在住 首藤憲二
「チャンコホイホイ チャンコホイホイ」。そんなお囃子(はやし)に誘われながら石段を登って行く。左右には夜店が並び、一足毎に気持ちは「天下の奇祭」へと入り込んで行く。
よい塩梅で配置された夜店の数々が、いかにも縁日らしい独特の世界を作り出している。その一角を通りぬけ、もう一つ上の段の神前へと向かう。参拝を済ませ振り返ると、枝葉を切り落とされた孟宗竹がまるで生き物のように、あるいは妖怪のように、お囃子にあわせて踊っている。
怪しくなりながら踊る竹の群れを見ていると、不意に自分が孟宗竹に襲われているような錯覚を覚える。実際に自分の近くにバシン!と音を立てて倒れて来ようものなら、夏の夜の蒸し暑さなど一瞬に吹き飛んでしまう。それは正に怪獣映画の迫力である。
階段を降りて竹の根本部分に目を移せば、そこには暴れる孟宗竹を取り押さえるように、そしてなだめるように竹を操る男達の姿が見える。妖怪の如くうごめく十数メートル高さにまで、そびえる太い孟宗竹を手玉に取りながら操る男達の顔は何とも誇らしげであり、それはまさに勇者の姿である。
勇者達の活躍をひとしきり楽しんだ後は、夜店を冷やかして廻る。いつしか自分が無邪気な子供に戻っている。金魚すくい、風船釣りや射的に輪投げ・・・。夜店のおじさんにあしらわれながら、必死になっているお客はちょっと面白い。
一昔前は、香具師の軽快な啖呵(たんか)売りも楽しめたものであるが、時代の流れか、それらはだんだん姿を消していく・・・。とはいえ、この祭りには昔と変わらない古き良き時代の日本が残っている。