説明文を分析する「5つのものさし」
                          2002.5.19    福山市立水呑小学校 教諭 粟村啓史
 
 以下は、浜上薫著『「分析批評」の授業の組み立て方』(明治図書)の中から、要点をまとめたものです。
 
 浜上薫氏は、説明文分析の際の観点を、以下に示すような「5つのものさし」としてまとめている。

 (1)「題」に注目する。
 (2)「論の進め方」に注目する。
 (3)「内容」に注目する。
 (4)「構成」に注目する。
 (5)「筆者の工夫点」に注目する。
 
 以下、それぞれについて述べる。
 
 
1.「題」に注目しよう 
 説明文に付けられている「題」には、大きく分けて次の2種類があると考えられる。

@ これから、筆者が述べようとする内容に関するもの。
   (例)「ノグチゲラの住む森」「ありの行列」「ねむりについて」など

A これから筆者が述べようとする中で一番訴えたかったもの。
   (例)「自然を守る」「心をつなぐ」など
 
 まず題から、これから筆者が述べようとする内容を想像する。
 
2.「論の進め方」に注目しよう 
 次の進め方で「論の進め方」を見ていく。。

@ 「主題段落」(筆者の主張が一番強く出ている段落)を見つける。
A 「主題段落」が冒頭に来ているか末尾に来ているかで、筆者の論の進め方を見分ける。
   ア)冒頭なら → 「演繹」型か「仮説設定」型
   イ)末尾なら → 「帰納」型
 
 ※「主題段落」を探しておくことは、授業の最後で全文の要旨をまとめる際に、大変大切になってきます。
 ※小学校における教材の場合は、ほとんどAの「帰納」型になっている。「主題段落」が一番最後に来ていること
   が多い。
 
 
3.「内容」に注目しよう 
 次の進め方で、一段落ごとに「内容」を見ていく。

@ 各段落を20字程度に要約する。
  (ア)一番大切な一文を選ぶ。
    そのための観点は、
    ・「キーワード」に注目する。
    ・「題」に注目する。
    ・「前の段落」に注目する。
    ・「後の段落」に注目する。
    ・「指示語」に鳥目する。
    ・「接続詞」に注目する。
  (イ)この一文を中心に20字程度にまとめる。
    a)一文が20字程度なら。
     ・そのままその一文を写させる。
    b)一文が20字より長い場合。
     ・大切なキーワードを抜き出させ、20字程度にその一文を削っていく。
    c)一文が20字より短い場合。
     ・その一文に、他の段落から大切なキーワードを付け加えさせる。

A 全文の要旨を20字程度にまとめる。(これは、授業の最後に行う。)
 
 
 
4.「構成」に注目しよう 
 各段落の要旨が20字程度にまとまったら、各段落の関係(「構成」)を見ていく。

@ 接続詞に注目する。
  (ア)順接
  (イ)逆接

A リレーション(段落と段落とのつながり方)の三大種類の中のどれに当たるかを見分ける。
  a)同一指示(言い換え)
    ・同じことを別の表現で述べること。
  b)分析(詳述)
    ・ある部分をさらに詳しく説明すること。
  c)近接と類似(例示)
    ・近接 → ある部分を関係の深い言葉に代えること。
    ・類似 → 例を挙げて説明したりすること。

B 各段落の関係をダイヤグラムの図にまとめる。
  a)同一指示(言い換え)・・・・・・・・ 横並び
  b)分析(詳述)・・・・・・・・・・・・・・・・ 縦並び
  c)近接と類似(例示)・・・・・・・・・・ 縦並び
 
 
 
5.「筆者の工夫点」に注目しよう 
 注目する「観点」には、次のようなものが考えられる。

 @ 図              D わかりやすさ
 A グラフ            E 「問題提示文」と「結論」の整合性
 B 論の進め方        F 「結論」と「題」との整合性
 C 表現方法(レトリック)