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 「かまぼこ」を問う  福山市立水呑小学校 教諭  粟 村 啓 史


 この日は、日曜参観の日であった。
 5年生社会科、「水産業」への入り口の授業である。

 スーパーのビニール袋に、「ソーセージ」・「ちくわ」・「かまぼこ」・「ハム」を入れておき(7品)、一つずつ品物を確認しながら児童に提示していった。

(発問1) この7つの食品に、共通していることは何でしょう。

 児童は次のように反応した。
   ☆どれもみな、ぶよぶよしている。
   ☆やわらかい食べ物である。
   ☆どれもみな、魚の肉が使ってある。
 そこで、この7つの食品には、みな魚の肉が使われていることを確認した。そして、「かまぼこ」を例に取り、次のように発問した。

(発問2) この「かまぼこ」は、消費者である先生の手に渡るまでに、どのような道筋をたどってきたの
      でしょう。考えられることを順番にノートに書きなさい。時間は5分間です。 

 黒板には、次のように板書しておく。

   D → C → B → A → @ → 先生

 児童の反応。
  @は、「お店」、「小売店」・・・・・これはすぐに出てきた。
  Dは、「海」、「魚を捕る」、「養殖する」などが出てきた。
  Cは、「市場(いちば)」、「港」、「水上げ」などが出てきた。
  Bは、「工場」、「作る会社」などが出てきた。
       ここで、「加工工場」ということを教えた。
  Aは、なかなか出てこない。一般的なこととして、「問屋」であることを伝えた。

(発問3) 漁(りょう)は、漁をする場所によって、大きく分けて3つの型に分けられます。どのように分
      けられるのですか。

 「水産業」の第1時であるから、子どもたちには既習の知識はない。教科書、資料集、地図帳など、何を見てもいいから見つけるように指示した。机間指導をする中でアドバイスを加えていく。徐々に見つけた子が増えてきた。

 (1)沿岸漁業、(2)沖合漁業、(3)遠洋漁業の3つを見つけ、子どもたちは発表した。

 そしてここで、これら(1)(2)(3)の他に「養殖」という方法があることを確認し、次のように発問した。

(発問4) 捕った魚が、そのまま消費者の手に渡るまでの道筋をノートに書きなさい。

 そして前述のD→C→B→A→@をもとに、次のような全体図ができあがった。
 さらにこの全体図に、教師の手で、「漁業」と「水産業」の枠組みを書いて示した。    

 

 そして、次のように指示・発問した。

(指示1) この図を30秒間見なさい。

 30秒後、

(発問5) 全員立ちなさい。「漁業」と「水産業」についてそれぞれを説明します。自分の考えを持った
      ら座ってノートに書きなさい。時間は5分間です。

 自分の考えを持った子から座ってノートに書いていった。最後までなかなか座れない子が3名いた。「国語辞書で調べてもよい」ことを伝えたら、その子たちも座って書き始めた。
 5分後、全員に発表させた。多くの子は、自分の考えを書くとともに、国語辞書に書いてある内容を基に自分の考えを調整していった。
 「漁業」についは、「捕獲」と「養殖」に触れた内容の意見を述べ、「水産業」については、「捕獲」と「養殖」と「加工」に触れた内容の意見を述べた。
 最後に、まとめとして、以下のような説明を加えた。

(説明1) 「漁業」とは、「魚を捕ること」と「養殖すること」を主な内容とする範囲の仕事で、「水産業」
      とは、「魚を捕ること」と「養殖すること」と「捕った魚を加工すること」までを含めた範囲の
      仕事を言います。

 その後、これから「水産業」について学習を進めていくことを伝え、各自が「知りたいと思うこと」、「疑問に思うこと」などをノートに書いてくるように指示して、この日の授業を終えた。

 この日の授では、まず初めに「かまぼこ」などの現物を提示して見せたこはがよかったと思う。そのことにより、児童の思考活動に必然性をもたらすことになったような気がする。



                                                       
                                                   

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